赤池を計画より40分ほど遅れて出発。
少し林道を進んで、袴岳への登り口に入る。
すると、
白い防護服を着た石川さん(たぶん)がいて。
「右側を進んで~」と。
「ハチですか?」
「地バチの巣を探しているんですけど
見つからないんですよね」
おそるおそる進むけど、
自分の体調の方が気がかりで
ハチどころではなかった(笑)
その先の分岐の案内スタッフに聞くと
1時間前の時間帯に
20人くらい刺されたとか。
細い登りの道だったので、
逃げ道が無いよな~、と思いつつ。
ここからは袴岳まで2回のピークを登る。
赤池である程度回復したと思ったんだけど、
なかなか出力が上がらない。
(やっぱりマズイ・・・)
(回復しねぇ・・・)
袴岳のピークを越えて、
トレイルを下る。
下りも、身体がだるくて乗れない。
前後のランナーもかなり少なくなってきて・・・
林道に出たところで妻に打ち明ける。
「このまま一緒に行くと、足を引っ張る」
「ここで先に行ってくれるかな?」
昨年は110キロでしたが、
同じような状態になって、
妻に先に行ってもらったんだけど、
ゴールまで残り1.5キロで時間切れ。
同じようなことは避けたいと思って、
伝えました。
「分かった」
1枚しかないペース表を写メして、
ペース表を妻に託しました。
下りの林道は、途中までなんとか
走ってついていったけど、
途中でついていけなくなって。
走りたいけど身体が追いつかない。
この下り、4回目だけど、
一番長く感じた。
時間がかかればかかるほど、
長く感じるんだろう。
下りきってからも走れんかった。
自分の弱さと向き合いながら
次のアパの関門時刻を確認。
5時までに到着できればいいけど、
とにかく進むしかない。
200段の階段を登る。
登り切ったはいいけども、
そこからが長い。
5キロで約400mアップ。
他の急登パートに隠れがちで、
高低図では地味な登りに見えるけど、
強い重力で下に引っ張られる登りで
とても淡々と登れる感じではない。
九十九折になったり、小川があったり。
道も細いところがあったりで、なかなかの
ハードワイルドな登り。
時間は夜中の2時~4時、睡魔が何度も訪れて、
登りが全然終わる気がしない。
諦めているわけではないけど、
ここまで時間が押してくると、
アパに間に合ってもその先が厳しいか?
諦めの気持ちも少しづつ芽生え始めて。
そんな感じで、暗闇を進んで進んで、
ついに関門時刻の5時を迎えてしまった。
(レースが終わっちまった・・・)
眠気の限界を感じて、
凧の糸が切れたように、暗闇の中、
トレイルの脇に倒れるように
転がった・・・
ハッ!
気づいて目を開けると
明るくなった空が見えて。
10分くらい気絶していました。
立ち上がると頭が驚くほど
スッキリしていて。
レースはもう終わっているのに、
自然に走り出せた。
しかも力強く(泣)
それまで登りなんか1ミリも走れなかったのに、
脚を前に出すのもやっとだったのに・・・
ガシガシと走って登って。
(どうなってんだよ・・・)
5分ほどすると、
ピークの地点にスタッフがいてくれた。
「関門時間は過ぎていますけど、
残り次のエイドまで楽しんでください!」
なんだか申し訳ない気持ちになった。
ここで回収されずに
アパまでは自力で行けるらしい。
気持ちがアガる下りを走って進む。
たしかに楽しいトレイル。
ただ、もうレースは終わっていて、
虚しさの中で走ってた。
ふと見えた妙高山が、
またいつでも来い、と
言っているように見えたのは
気のせいか・・・
しばらく下ると、アパエイドに到着。
関門時刻を40分くらい過ぎていました。
計測チップを返して、
ドロップバッグを受け取って。
コーラを一杯もらって。
芝生の上で、横になり、
空を見上げるしかなかった。
回収バスは7時に出発とのことで、
あと1時間くらい先。
発する言葉もなく、
やることもなく、
ただただ、横になるしかなく。
エイドは撤収作業が始まっていて、
でも、ちらほら後から
ランナーが到着してくるので、
コーラとパンを残してくれていました。
今回のチャレンジは52キロ、3分の1までしか
たどり着けずに終了。
暑さ対策はしてきたつもりだったけど、
睡眠不足からくる熱中症?
まぁ・・・
信越の100マイルを走る実力が無かった、
というしかない。
ただ、なんだろうな・・・
今の力を100%出せたかというと、
そうではなく、勝負すらできなかった気がする。
いろんな意味で力不足でした。
練習方法、体調管理、メンタル・・・
スタートに立つまでの気持ちの持ち様・・・
あげだしたらキリがないけど、
イチから出直しです・・・
さて。
先を行く妻は?
次回につづく